Fellowship
本作は、ブラジルのアーティスト Analivia Cordeiro の「Computer Dance」シリーズに見られるような、人物が記号化され、機械的な印象をまといながらシーンと一体化していくアプローチから着想を得ています。
日本には、古来より身体に意味を託す表現が存在してきました。たとえば夏の盆踊りには、迎えた祖霊を送り出すという儀式的な意味があります。その振付は手よりも足の動きに重きが置かれ、「地を踏むことで霊を鎮める」という象徴的な意図が込められています。また、「稲を刈る」「水をすくう」「灯籠を掲げる」といった所作には、農耕や供養に根ざした身体の記号性が今も息づいています。
阿波踊り
本作では、こうした意味を宿す振付を Cordeiro の視点にならい「記号」として捉え直しました。さらにそれを現代のAI技術と結びつけ、記号の変換や揺らぎを可視化することを試みています。阿波踊り、よさこい、盆踊りといった日本の踊りの画像をもとに、FluxgymでAIモデルをトレーニングし、ComfyUI(ノードベースのAIツール)によって身体を生成・変形。生み出されたイメージは、元の意味構造を裏切りながら、ズレた身体的記号として立ち現れます。さらにTouchDesigner(ノードベースのビジュアルコーディングソフトウェア)上で時間とともに歪ませることで、ダンサーは一つのイメージとなって消失し、やがて意味を持たない機械的な存在へと変化していきます。
Body Without Presence #1
Body Without Presence #3
Body Without Presence #7
こうして生まれるのは、人物像が消え去った「存在しない身体」です。それはアルゴリズムが生み出す幻であると同時に、私たちが文化や感情を重ねて読み取る対象でもあります。
この制作において、アーティストの役割は「意思決定」と「詩的跳躍」にあります。AIを単なる道具ではなく、意味の生成に関わる「他者」として受け入れることで、共創的な振付が可能になります。ズレた記号、変形された身体、意味の消失。そのなかからどのような新しい詩が立ち現れるのか。そしてそれは、私たちの身体と想像力にどのように還ってくるのでしょうか。
Credit
Curators: Micol Apruzzese & Alex Estorick
Venues: Artverse Paris & Online at fellowship.xyz
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